今回の「アフィニス・アンサンブル・セレクション」はスペシャルづくし。15周年という節目を迎えての記念演奏会であると同時に、2012年に開催される「アフィニス夏の音楽祭 2012 山形」のプレイベントとして催され、前日には山形でも同公演が行われました。公演には「アフィニス夏の音楽祭」で講師を務める海外からの演奏家や、2012年のホスト・オーケストラである山形交響楽団をはじめとした国内オーケストラから気鋭の演奏家が多数出演。公演タイトルを裏切らない華やかな競演で、会場を圧倒しました。
リポート
■ブラームス:弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 Op.18 最初に演奏されたのは、ブラームスの遺した室内楽曲の中でも特に人気の高い楽曲の一つである弦楽六重奏曲。山形交響楽団のコンサートマスターである犬伏亜里さんが、第1ヴァイオリンを務めました。その第1ヴァイオリンを筆頭に、6つの弦楽器は一糸乱れぬアンサンブルを展開。重厚に響く低音部もさることながら、語りかけるようなヴィオラとつややかなヴァイオリンの音色が、ホールをやわらかく包んでいきます。そして第3楽章から終楽章にかけては、緩急と強弱の変化を大胆につけつつ、奔流のようにクライマックスへ。あとに強い印象を残す劇的な幕切れに、会場からは盛大な拍手が送られました。

■モーツァルト:ピアノ五重奏曲変ホ長調 K.452
2つ目のプログラムは、モーツァルトの五重奏曲。奏者であるホルンの八木健史さんが「一つのフレーズに対して5つの楽器の表情を聴けるのが、この楽曲のもっとも面白いところ」と言うだけあって、各楽器がそれぞれの持ち味を存分に生かした演奏が披露されました。よく練り上げられた緊密なアンサンブルは、ヴァディム・セレブリャーニーさんのピアノに導かれるようにして、絶妙なバランスを保ちつつ多彩な音色を紡ぎ出していきます。5つの音色がときに主張し合い、ときに対話しながら展開する様子は耳に楽しく、明るく華やかなモーツァルトならではの世界を存分に堪能させてくれました。

■アーノルド:金管五重奏曲 Op.73
締めくくりを飾ったのは、輝かしい金管五重奏曲。第1曲、トランペットが高らかに先陣を切ると、続けとばかりに他の楽器も軽快に旋律を奏でていきます。続く第2曲はやや沈うつなイメージ。哀感をたたえたトロンボーンのソロが、ゆったりと響き渡ります。第3曲は、前曲の印象を吹き飛ばすかのような生き生きとしたフィナーレ。各楽器が順番に旋律を取りながらめまぐるしく展開していく様子は、どこかユーモラスな表情も感じさせます。そして、5つの楽器は一体となって堂々たる終結部へ。胸のすくような好演に会場からは「ブラボー!」の声も飛び、いつまでも拍手が鳴り止みませんでした。

出演
犬伏亜里(Vn)
川崎洋介(Vn)
鈴木まり奈(Va)
齋藤麻衣(Va)
小川和久(Vc)
大澤哲弥(Vc)
佐藤麻咲(Ob)
野田祐介(Cl)
髙橋あけみ(Fg)
八木健史(Hr)
ヴァディム・セレブリャーニー(Pf)
井上直樹(Trp)
太田恭史(Trp)
ルカ・ベヌッチ(Hr)
菊池公佑(Trb)
ピーター・リンク(Tub)
インタビュー
八木健史さん(ホルン/山形交響楽団首席)
今回のように、オーケストラを離れてアンサンブルを突き詰めていくという経験は、普段なかなかできるものではありません。加えて、海外の演奏家や他のオーケストラのメンバーと一緒にやれるというのはすごく刺激的でしたね。ピアノのヴァディム・セレブリャーニーさんにしてもそうだし、群馬交響楽団の野田祐介さんにしてもそうです。
セレブリャーニーさんは、2010年の「アフィニス夏の音楽祭」でシューマンのピアノ五重奏曲を聴いて感動。以来、“あの人と一緒にやってみたい”と思っていたので、今回はそれがかなってうれしかったですね。彼の音色はとてもきらびやかで生き生きとしている。そんな彼と一緒にやることで、僕たちも明るく輝かしい音色をつくりやすくなるんです。
また、楽器が違うからこそ受ける刺激もありますね。楽器を通してのアプローチというか……。ある楽曲を異なる楽器の5人でつくり上げていくことで、各楽器特有のアプローチだけではなく、楽器共通のアプローチも同時に見ることができるでしょう? そこで得たものは、普段のオーケストラでの演奏にもフィードバックできるし――、何よりすごく興味深くて楽しい経験でした。
今回はプレイベントでしたが、2012年には山形で「アフィニス夏の音楽祭」が開催されます。音楽“祭”というだけあって、自分たちから積極的に楽しんでいきたいですね。ホスト・オーケストラである僕たちがそういう空気をつくることで、他楽団の演奏家の皆さんやお客さまもより楽しんでいただけると思いますし。ぜひ、山響メンバーから盛り上げていきたいですね。

お客さまの声
- 50代男性
- モーツァルトも安定感があってよかったですが、今回は特にアーノルドが出色の出来でしたね! 以前から山形交響楽団のファンで、月に一度は公演に足を運ぶほど。トランペットの井上直樹さんは山響の素晴らしい財産だと思います。
- 30代女性
- ブラームスは、楽曲自体は知っていましたが、今回初めてライブで聴きました。やはり生演奏は違いますね。活気があり、舞台から息遣いまで伝わってくるようでした。出演者の皆さんが楽しそうに演奏している姿も印象的でした。
- 40代女性
- 弦楽六重奏、ピアノ五重奏、金管五重奏と、まったく印象の異なる3タイプの曲を一度に楽しめて非常に楽しかったです。演奏者のテクニックも、皆さん申し分ありませんでしたね。どれも完成度の高い、すてきな演奏でした。



























































































