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アフィニス・アンサンブル・セレクション

これまでの公演

読売日本交響楽団に所属する4名の若手弦楽器奏者が「アフィニス夏の音楽祭 2010 山形」への参加をきっかけに、ピアノの鈴木慎崇さんと共に五重奏団「アンサンブル・メデール」を結成。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノという珍しい編成です。その旗揚げ公演ともいえるのが、今回のアフィニス・アンサンブル・セレクション。音楽への妥協なき姿勢とメンバー間の親密さがうかがえるような、クレバーかつみずみずしい音色で、訪れたお客さまを楽しませました。

リポート

ヴォーン・ウィリアムズ:ピアノ五重奏曲 ハ短調
最初に演奏されたのは、イギリスの作曲家、ヴォーン・ウィリアムズのピアノ五重奏曲。日本ではまだ演奏機会も少なく、今回初めて聴いたというお客さまも多かったようです。しかしながらいざ演奏が始まってみると、そのメロディアスで詩的な叙情性に富んだ曲想に、会場はぐいぐいと引き込まれていきました。「実は低弦が聴きどころ」というヴァイオリンの寺井さんの言葉通り、力強く響く低音部が全体をどっしりと支え、ふくらみのある豊かな音をもたらしています。メンバーの呼吸もぴたりと合い、秩序ある音色はオーケストラにおける音づくりを思わせるよう。未知なる楽曲へ真摯に挑んだアンサンブルに、盛大な拍手が送られました。

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シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 D.667「ます」
後半を飾ったプログラムは、いわずと知れたシューベルトの名室内楽曲「ます」。「燦燦と輝く太陽のよう」(ヴィオラ/渡邉さん)「より上品に、まろやかに」(コントラバス/石川さん)と、メンバーそれぞれがイメージを抱いて臨んだ舞台は、くるくると変わる多彩な音色が印象的な好演となりました。ときに明るく華やかに、ときに力強くはねるように――5つの楽章を通して、生命感溢れる音色が生き生きとつむがれていきます。楽器の個性が感じられる弦の響きと粒の立ったピアノの音色が、新鮮な好対照。メンバー同士が時折り見せる目配せやくつろいだ表情も楽しく、最後の1音までフレッシュなアンサンブルを聴かせてくれました。

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カーテンコールでは、チェロの芝村さんが「よい仲間と皆さんの前で演奏できることを幸せに感じます」とあいさつ。アンコール曲として演奏されたシューベルト「劇付随音楽『ロザムンデ』」の間奏曲は、ゆったりとした優しい楽曲です。「せっかくなので、最後まで同じ編成でできる楽曲を」(ピアノ/鈴木さん)との配慮から組まれたこの日のプログラム。公演を通して舞台に立ち続けた5名の演奏家に、いつまでも温かい拍手が送られました。

アンコール

シューベルト:劇付随音楽「ロザムンデ」より 第3幕への間奏曲

出演
  • 寺井 馨(Vn) 寺井 馨(Vn)
  • 渡邉千春(Va) 渡邉千春(Va)
  • 芝村 崇(Vc) 芝村 崇(Vc)
  • 石川浩之(Cb) 石川浩之(Cb)
  • 鈴木慎崇(Pf) 鈴木慎崇(Pf)
インタビュー
寺井 馨さん(ヴァイオリン/読売日本交響楽団)

コントラバスが入る室内楽はそんなに経験したことがなかったので、最初は少し躊躇があったんです。でも、石川さんの熱意に押されて(笑)、「頑張ってみようか」と。実際にやってみると、楽器の構造や音の違いというか――細かい動きのヴァイオリンに対して、ゆったりと大きな動きのコントラバスという、それぞれのカラーを生かしながら一つの音にまとめる作業が難しく、そして楽しかったです。「ます」はピアノやヴァイオリンが花形ですが、ヴォーン・ウィリアムズの曲は低弦がすごく活躍する色彩感豊かな楽曲。今回の編成が「ます」以外の曲で演奏される機会はあまりないので、そこを楽しんでいただきたいですね。

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渡邉千春さん(ヴィオラ/読売日本交響楽団)

今回のアンサンブルは、私にとってお互いを深く知るまたとない機会でした。それに、今回は弦楽四重奏などとは違ってセカンドヴァイオリンがおらず、ヴィオラの自分がセカンドヴァイオリンに近い役割を担う場合も多々あって――。自分の幅を広げるいい勉強になりましたね。室内楽は、指揮者のいない状況の中で、奏者同士が音を溶け合わせていくときがやっぱり一番楽しいです。互いに呼吸を合わせながら一つの音楽をつくり上げていくのは、普段やっている音楽とは全然違う経験になりますね。今回演奏するのは、正反対の性格を持った2つの曲。それを私たちがどう弾きこなすのかを、ぜひ聴いていただきたいです。

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芝村 崇さん(チェロ/読売日本交響楽団)

この5人でのアンサンブルは今回が初めて。いつもは同じオーケストラに所属していますが、ここまで深く親密にコミュニケーションを取る機会はなかなかないので楽しかったです。各パートを1人の奏者が受け持って、互いに存在価値を主張し合いながら音楽をつくっていけるのが、僕の考える室内楽の面白さ。このアンサンブルでも、個人の持つ音楽の意思を感じられるような音が出せればと思っています。それから僕、いつも演奏するときには絶対に“楽しんで弾こう”と思ってるんですよ。奏者自身が楽しむことで聴き手も入りやすくなると思うし・・・・・・。だからお客さまにも、日常を忘れて楽しんでいただけるとうれしいですね。

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石川浩之さん(コントラバス/読売日本交響楽団)

2010年の「アフィニス夏の音楽祭」に、鈴木さん以外の4人で参加したのが、今回アンサンブルを組むことになったきっかけ。同じ楽団でずっと一緒に音楽をやっていく仲間として、共にいいものをつくり上げていければとの思いから、この演奏会を提案しました。リハーサルの時間を捻出するのに苦労したりもしましたが、すごくやりがいがありました。本番では一人一人の個性を出しながらも、ヴォーン・ウィリアムズはドラマチックに、またシューベルトは上品に……と、楽曲のよさも十分に出せるように演奏したいですね。そして今後もぜひ、いろいろな曲にチャレンジし、自分たちのものにしていきたいです。

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鈴木慎崇さん(ピアノ)

これだけ大掛かりな室内楽は久しぶりだったので、今回は新鮮でした。妻(注:寺井さん)との共演もそうですね。リハーサルを終えて家に帰っても、意見を戦わせたりして(笑)。「ます」は比較的とっつきやすいんですが、ヴォーン・ウィリアムズは作品があまり身近になく、その点で難しかったです。例えていうなら、シューベルトは長年の知人だけどヴォーン・ウィリアムズは初対面という感じ。しかもメンバー5人にそれぞれの「初めまして」があるので、それらを上手くすり合わせ、解決策を探っていくわけです。でもやはりその模索が室内楽をやる上では不可欠ですし、聴いていただくものをつくる過程で大切なんだと思います。

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お客さまの声
60代男性
ヴォーン・ウィリアムズのように演奏機会の少ない楽曲を、名曲「ます」との組み合わせで聴けるのは心憎いですね。息が合った演奏で、聴いていて幸せな気分になりました。若手演奏家によるこういった取り組みを、ぜひ今後も続けてほしいです。
40代女性
運よく最前列で聴くことができました。音だけではなく、皆さんの表情や呼吸の合わせ方など、耳と目の両方で楽しめてよかったです。自分も楽器をやっているのでとても勉強になりましたね。もちろん、演奏も非常に素晴らしかったです!
30代男性
ヴォーン・ウィリアムズは初めて聴きましたが、とてもよい楽曲ですね。普段はオーケストラの活動で皆さんお忙しいのではないかと思いますが、そんな中でもしっかりと練習を重ねてきたのだなということが伝わってくる演奏だったと思います。